カテゴリー : Book

勤労

  • 2009年 12月 24日
  • カテゴリー : Book . Diary

基本的に仕事のことは日記に書かないようにしてきましたが、あまりに仕事漬けで書くことがないので仕事ネタ。 かなり長い時間をかけて地道に作ってきた1冊の本が、やっと先週発売されました。 検索除けのためタイトルは書きません。 31人の女生徒が魔法使いの先生と一緒にパンチラ、乳チラしながら活躍する少年マガジン連載中の人気コミックの公式解説本です。(たとえが大雑把ですんません。) 週刊誌連載4年分、巻数にして18巻分の詳細解説を高密度で詰め込んだの2冊セットでトータル750ページ!! 装丁はもちろん、本文のデザインからページオペレーションまでやらせていただきましたよ。 怖々、ネットでの評判をチェックしたら、予想をはるかに超えた高評価で一安心。なんか絶賛されてるよ。うれしいすなぁ。 安い本じゃないし、ファンにとっては愛蔵版になるわけだから、全体的なデザインはもちろん、画像の切り抜きにいたるまで丁寧に積み重ねた結果の一冊(二冊組みだけど)なので報われました。 もちろん、編集さん、ライターさんが、手抜き無く真面目に地道にコンテンツを練り込んだからこその高評価。デザインはそれを解りやすく伝える為の盛りつけであり、パッケージングでしかないわけですが。 し・か・し……だ。 この、執念と拘りのメンツの中でひとりだけ手抜き野郎がいたのだ。 この750ページ中のメインとなる600ページオーバーは僕ひとりでデザインしたのですが、残り部分・・・巻頭と巻末のおまけ的企画を担当したもうひとりのデザイナーの仕事っぷりが酷いったらありゃしない。 日本語組版の常識を知らないのか、仕事が超絶的に雑なのか。 行間不揃い。位置がずれていることが一目でわかる見出し文字。セオリー無視の改行。明朝であろうとも文字詰め皆無。無意味な斜体。無意味なドロップシャドウ。文頭6文字で改行しないでよ(笑)。 いや、そのデザイナーさんは単に忙しかったのかも知れない。この仕事に興味がなくて嫌々やったのかも知れない。もちろん単純にスキルが低いのかもしれない。 それに、一般の読者はこの細かい手抜きっぷりに気がつかないかも知れない。 でもね。そうだとしたら仕事をくれたクライアントさんに、そしてなりよりお金を出して買った読者に失礼すぎやしないですか? もの作りって、誰にも気付かれないような細かい部分を練って磨いて、見えないところで努力して、それで、やっとお客さんとか消費者が普通に「いいね」って言ってくれるのものじゃないんですかね。 「心ない仕事」で人を喜ばすことなんて出来ないでしょ。てか、最初からそういうことを目標にしてないのかねぇ。 そういう価値観の相違なら返す言葉もないのですが。- [ 続きを読む ]

『バクネヤング』の真実

  • 2008年 5月 22日
  • カテゴリー : Book

昨日、『映画秘宝』に載っていた記事を見て、あるサイトを探しだして読み出したらとまらなくなって不覚にも3時間費やす。(仕事しようと思ったのに) 稀代のバイオレンス漫画『バクネヤング』の作者、松永豊和さんの自伝。 http://book.geocities.jp/monene39/novelmangamiti.html 『バクネヤング』が休載に休載を重ね、掲載誌が次々とかわり、はては未完のまま消え去った経緯が作者を翻弄した編集者への恨み節と共に濃〜く語られていて一読の価値有り。 ただし、一方的な視点のパラノイア的な罵倒がこれでもかと書かれているのでそういうのが嫌な人にはお勧めできませんが。 一方的な悪口混じりの私小説というと、個人的には『東京タワー』を思い出しますが、リリー・フランキーの文章は悪意のない人間に対する逆ギレ的罵倒で不快だったのに対し、こちらは言いたいことは伝わってくるし、その理由も(しつこいくらいに)説明されていて不快感は無いです。(当事者が読んだらたまらないだろうけど) すべて仕上がった時点で良いものになるよう、細かい部分の表現にわざと負の要素を加えたり、力を緩めたり、あえて突出させたりというのは、ものを作る人間なら誰でもやることだろうけど、そういう、細かい部分だけを見て横やり入れる人っているよね。 俯瞰で見ないでピンポイントでいろいろ言うのは誰でも出来るから。 仕方ないから、そういうリクエストに応えて修正すると、大抵はバランスを欠いた珍妙なモノになってしまうのです。 松永さんの自伝はそんな話です。- [ 続きを読む ]